2020年3月某日。
我が家に年齢不詳の大人しいビーグル犬がやってきました。
いぶきという名前のその子は、生まれてからずっとブリーダーの元で繁殖に使われていた繁殖引退犬という保護犬でした。
初めて私達家族がいぶきに会いに行った時は、控えめ目ながらも見知らぬ私達家族に向かって尻尾を振りながら近づいて来てくれました。
しかしトライアルでいざ家へ連れられて来た当初は、緊張のあまりに玄関から一歩も中へ入れず立ちすくんでしまった事が印象的で少しだ不安になってしまった事を覚えています。

ブリーダーの元から保護して里親探しをされていたボランティアさんの話では、保護当時はノミ・ダニが沢山付いていてお腹の中には寄生虫がいたためにすごく痩せていたとのことでしたが、適切にケアされてすっかり健康的な体格になっています。
しかし、ずっと檻の中で生活していたために外の世界が怖くてなかなか散歩に出られませんでした。
足の裏なんかはまるで子犬のようにプニプにしていて、本当に外へ出た事がないのだと実感しました。
(今ではお散歩命なので、毎朝5時前から起き出してワクワクソワソワと散歩待機の日々ですが・・・笑)
保護犬とは?
最近では犬・猫の保護活動をされている方達の並々ならない努力のおかげで、一般にも保護犬・保護猫の事が広く認知されるようになり、私のように、保護犬を家族に迎えたいと考える方も多くなっているようです。
そもそも、保護犬・保護猫とはどういった経緯で集められた子達なのでしょう?
CASE 1 一般家庭で飼えなくなったペット達
家庭で普通に飼われていたペットが、家庭の事情などによって飼えなくなって保健所などに連れて行かれる事があります。
不幸にも迷子になってしまい、やむなく保健所に保護される場合も。
CASE2 ペット産業の犠牲になったペット達
ペット産業の中では本当に沢山の動物達が辛い目に遭っています。
まず繁殖の為だけに飼育され、愛情を受ける事なく狭いケージの中で一生を終えてしまう親犬。
(もちろん全ての業者がこのようではないので、優良なブリーダーなどは管理を徹底されているようです。)
そうして生まれた販売目的の子犬は、早くから母犬と離されてしまう為十分な生育が出来ずに途中で死んでしまったり、売れ残ってしまった場合は最悪処分されたり、良くても繁殖に回される事になります。
最初は適切に管理されていたとしても、不景気による業績の悪化などで管理に手が回らなくなったり、事業が崩壊してしまったなど。
これらの場所から動物愛護団体の皆さんは一匹でも多くのペット達を引き出して里親探しをする活動をされています。
何故保護犬を迎えようと思ったのか
あえて保護犬を迎え入れるという事は、その人それぞれに理由があるとおもます。
- 一匹でもかわいそうな動物を助けたいと言う愛護の気持ちがある。
- 譲渡会などで出会った子に運命を感じた。
- ペットショップで買うよりも安いから。
3つ目の理由だったらペットは飼わないでいただきたいですね。
我が家には一年前までフレンチブルドッグがいました。

バンちゃんと言うメスのその子は11歳になってもまるで子犬のような性格で、今までなんの病気もする事なく健康体そのものだったのです。
ところがある日帰宅すると、朝食べたご飯を全て吐いて震えて座り込んでいました。
確かに朝少しだけ元気がなかったような気がするけれど、全く心当たりがありません。次の日に病院に行ったところ、肝臓の数値が異常に上がっていると言う事でした。
病院で点滴などしていただきましたが、あんなに何でも良く食べていた子が一切の物を口にしなくなりました。
ただ水だけを異常にガブガブと飲み、オレンジ色のおしっこを大量にします。
食べられないのでみるみる痩せていき、大きな目を見開いて私を見上げ、低血糖のためにずっと小刻みに震える姿を見た時
この子はもうダメなんだ・・・
直感でそう感じました。
お願い、行かないで。
その願いも虚しく、発病してからたった3週間で虹の橋を渡っていきました。
もっとずっと一緒にいられると思っていたのに、おばあさんになって介護する事がしたかったのに。
突然ポッカリと心に穴が開いたような気持ちで一年が過ぎたころ、以前譲渡会で出会った保護犬の事を思い出しました。
特殊な環境で育った成犬〜老犬である彼らが持つ、子犬にはない落ち着きと優しさに癒されたかったんだと思います。
長くなりましたが、これが保護犬を迎えた私の理由です。

我が家の受け入れ条件
我が家は二世帯家族です。
特に犬を飼うことに反対する家族はいなかったのですが、私達夫婦の居住は主に二階だったので必然的に犬の飼育は二階になります。
なので、抱えて階段を上り下りできる体格の中〜小型犬までしか飼う事ができません。(外飼いはNGのルールが譲渡条件の場合が多いです。)
ペットを飼う上では環境によってかなり世話の負担などが変わってきます。最初は良くても、毎日のことなので苦痛を感じてしまうと最悪ペットを手放さなければならなくなります。
家族の中に反対する人や、犬が嫌いな人がいないか?
10年後も変わらずお世話していく事ができるか?
犬の飼育費や医療費を支払う経済力があるのか?
家の中に犬専用の居住スペースを確保する事ができるかを良く考えてから迎え入れて欲しいです。
実際に受け入れてみて思ったこと
良かったこと
- すでに成犬になっているのでその犬の性格、体格はほぼ決まっていて自分のライフスタイルにあった子を選びやすい。
- ブリーダーからの繁殖引退犬の場合はすでにトイレなどのしつけが済んでいる場合もある。
- 成犬は子犬とは違い、落ち着きがある子が多いので飼いやすい。
デメリット・今後不安になっていくこと
- 年齢不詳の子が多い為、麻酔を伴う医療行為(歯石とり、去勢手術)に命のリスクがある。
- 歯に問題をかかえる子が多い上に、今まで歯磨きをしてこなかったので手入れを嫌がる。
- 体の何処かに病気を持っている子が多い為、医療費がかかる。
- 亡くなった時が辛い。
現在の状況
現在、いぶきを迎えてちょうど3ヶ月になります。
家に来たばかりの頃は、緊張のためずっと下を向いたまま目を合わせる事ができませんでしたが、毎日話しかけてお世話をしたり沢山の人と関わるうちに自然と顔を上げ、アイコンタクトが取れるようになりました。
表情もあきらかに明るくなり、人の話も徐々に理解できるようになったのが分かります。
三ヶ月間一言も吠えることなくすっかり老犬のようだったいぶきは、どんどん動きも活発になり若返っていきます。

自己表現もするようになり、先日初めてご飯を要求して吠えたのです。
いかに今まで犬らしさを殺されて生きてきたのかを考えると、要求吠えも愛おしく思えます。
保護された犬達は、どの子も心に深い傷を負っています。
今までずいぶんと恐ろしい目に遭ってきたのでしょう。
そのために時には人を怖がるあまりに吠えることや、噛みついてしまう事も多いそうです。
もしも保護犬を引き取りたいと考えている場合は、もう二度と犬に辛い思いをさせないよう十分に手間や愛情をかけてあげられる余裕があるかを今一度よく考えてお迎えいただきたいと思います。
それでも保護犬を迎えてみたいという方へ
とはいえ一匹でも不幸な犬を助けてあげたいのが本音ですので、できればペットショップなどから購入するのではなく、ぜひ保護犬の里親になってくれる人が増えてくれるとうれしいと思います。
では、いったいどこへ行けば保護犬達の里親になる事ができるのでしょうか?
保護犬と出会う方法
譲渡会へ行って実際に触れ合ってみる
一番おすすめなのは、動物愛護団体が定期的に開催する里親探しの譲渡会へ行って直接犬達と触れ合ってみる事です。
触れ合う事で、大体の犬の性格や相性などが分かると思います。
ある程度の期間、動物保護団体の預かりボランティアさんが犬を預かり育ててくださっているので、きちんと社会性が身についていて大人しく飼いやすい子が多いのが特徴です。
犬のお世話をしているボランティアの方が必ず側にいて、質問すれば詳しい性格や生活習慣、トイレのしつけ状況などを説明してくれます。
そして譲渡してもらった後もアドバイスや相談などに乗っていただく事ができるので、できれば生活圏内にある動物愛護団体からの譲渡を一番にお勧めします。
譲渡会に出られない場合も直接問い合わせをする事で、犬との面会の機会を設けてくださることもあります。
インターネットで探す
自分が住んでいるところには動物愛護団体が無い場合は、インターネットでの里親探しのサイトで調べる事ができます。
代表的なサイトはこちらになります。
ペットのおうち
お結び

ただし、インターネットでの募集は通常の譲渡会よりも若干譲渡条件などが厳しく設定してある場合が多いです。(もちろん通常の譲渡会でも譲渡条件はしっかりと定められていますので、誰にでも譲っているわけではありません。)
その理由は、里親の中に譲り受けた犬を使い繁殖させて使おうとするような悪質な人間が一定数存在しているからです。
その他にも、小さなお子様がいる家庭や、逆に60歳以上の年齢の方、住居環境が犬を飼うのに不適切だと判断された場合などは譲渡の対象外になってしまう場合が多いです。
それも犬たちの幸せを思えばこそなのです。
インターネットでの譲渡の流れは、まず里子にしたい子の管理者様にサイト内で連絡を取り、条件に合えば一度実際にその子に会いに行く事ができます。
そこで、さらに話が進めばトライアル(1週間ほど実際に自分の家で一緒に過ごす事)をしてそのまま譲渡となったり、無理だと感じたら返還することになります。
他には、保健所や近所の人から譲り受ける場合などもありますが、中にはひどく凶暴な状態の犬や、傷ついたり病気になってしまった犬などもいますので、あまり無理をしないで、動物の専門家である保護団体などに頼る事をお勧めします。
保護犬を引き取る際の料金は?
- トライアルの際は管理者の方が自宅まで犬を連れてきてくださり、その際に飼育環境をチェックします。そのため交通費が必要となります。
- 犬が保護されてから掛かった医療費、ワクチン代、美容院代など。
我が家では4万円ほどの費用でした。(特に持病なし、避妊手術なし)
まとめ
理由や経緯はどのようでも、我が家にやってきた愛犬はとても可愛いものです。
飼い始めの時はどんなに覚悟していたとはいえ、自分はこの子を幸せにしてあげる事ができるのだろうかと不安に思ってしまうと思いますが、そんなことも最初のうちだけ。
人間同士だって初対面の人と打ち解けるには時間がかかりますよね。
少しずつお互いの生活習慣の歩調が合うに従って、新しい生活にも慣れていく事ができるのです。
確かに日々のお世話は大変かもしれませんが、お互いに癒し癒される関係はいつの日か固い絆で結ばれていくのだと思います。


ここまで読んでくださってありがとうございました!!
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